東藻琴高の挑戦
アイス製造 再び着手
消費拡大へ地域と連携 「大空町のまちづくりの一翼を担うこと。これが東藻琴高校の果たすべき役割です。地域のために何ができるかが農業高校として問われている」 入宇田尚樹校長(54)は力を込めた。町村合併で三月末に誕生した網走管内大空町。その基幹産業の一つである酪農を担っているのが東藻琴地区だ。かつて、余剰牛乳の有効利用を目指して開発したチーズを地域の特産品に育てた高校が今、牛乳の消費拡大に向け、再び立ち上がろうとしている。
同校がチーズの商品開発に向けて研究を治めたのは一九七九年。教諭や生徒、酪農家らが協力し、東藻琴の風土に合ったチーズ作りの研究を重ね、「ひがしもことカマンベIルチーズ」などを生み出した。これを乳製品販売・加工体験施設「ひがしもこと乳酪館」が受け柩ぎ、押しも押されぬ人気商品に育て上げた。同館では生徒が栽培したブルーペリー入りのアイスクリームも販売している。
乳酪館の技師補樺沢範行さん(23)は「今の技術があるのは高校のおかげ。一番人気の『ひがしもことスモークチーズ』は高校の食肉加工の薫煙の技術が生かされている。(生乳の生産過剰という)今の状況は、チーズ作りが始まったころに似ている。施設と高校の連携を復活させて、若いアイデアや熱意をもらい一緒にやっていけたら」と期待を込める。
高校も「こういう時こそ地域に貞献しなけれは」と、限っていたアイスクリーマ1を稼働させ、アイスクリーム製造に再び着手した。試作に取り組む掘江充教諭(31)は「パニラエッセンスの入らない牛乳そのままの味。地域の酪農家の牛乳を使いたい」と意欲を語る。
さらに、食卓に牛乳を取り入れる工夫を掘り起こし、事例をまとめて地域に提案していこうと、家庭科教諭が酪農家への聞き取りを始めた。 入宇田校長は「牛乳の消費拡大に向けて、商品開発だけではなく、まずは足元から見直して地道に活動し、理解してもらうことが大切。生徒たちがつくり、伝えていくことで、地域のネットワークを作りたい」と夢を膨らませる。 (網走支局・小森美香)
北海道新聞 2006/5/22 |